2018/11/09

大阪 西成で、


西成区に宿を構えているわたしは、撮影に出掛ける朝、かならずこのあたりをぐるっと歩くことを日課にしている。
写真が撮れても撮れなくても。

今日が雨だということは前からわかっていた。
午後3時頃まで雨が降り続く予報だったが、ほとんど降っていないような細かな雨だったり、ときおり雲間から太陽が顔を出すこともあり昨夜からの雨が深く染み込んだアスファルトは黒い光を反射させ、輝いていた。
わたしの前を、修道女の方が歩いていく。
三角公園から何メートルかの所に、小さく質素な平屋の教会があった。
道にたむろしているお父さんのひとりがシスターに向かって「おはようございます」と声を掛ける。
商店街で働く人も「この間はありがとうございました」などと挨拶をしている。
わたしまでほっとした気持ちになった。

ここでわたしは何を撮ろうとしているのだろう?
と考えたとき、ひとつは今朝のようなことなんだろうと思っている。

残りの大部分のことは写真だけが知っていて、そしてまだ闇に潜んで沈黙を守っている。