2014/03/29

フランスへ 2013初冬

―VITRE(ヴィトレ)へ― /フランス/2013・初冬


 VITREはフランス北西部、ブルターニュ地方の玄関口に位置し、お城のある小さな古い町だ。
 友人で、彫刻家の家族を訪ねて行った。
 彼女には2004年、パリに暮らしていたとき随分お世話になった。

 一目ぼれして購入したという可愛らしい石造りの家に、画家の旦那さんと小さな娘さんと3人で暮らしている。

 私が住んだのは、彼らの所有する貸家で、彼らの家から歩いて10分ほどの小さな三階建の、こちらも古い石造りの小さな家。 1階がバスルームとダイニングキッチン、2階が広々としたリビング、3階がベッドルームになっていて一人で使うには贅沢すぎる広さだ。

 古いラジオから流れるローカル放送を聞きながらビールを飲み、VITREの地図を見ながら、明日はどこに撮影に行こうかとしばし考える。

 ここは本当に静かで安全な町だ。
 夏はヴァカンス客で賑わいを見せるそうだが、11月下旬の今はほとんどいない。
 日没後ふと三脚を立てて写真を撮ってみたくなる。近所の石造りの街角を長時間露光で撮影してみた。

 古いお城を囲む小さな石造りの旧市街、その周りには現代的なフランスの住宅街、その更に周りには広大な牧草地や畑が広がっている。

 友人にもらった地図を頼りに「森の中の散歩道」と名付けられた道を、できるだけ遠くへ行ってみようと思った。子供の頃に戻ったように、田舎の道をひたすら歩く。
 木々の間の美しい1本道で立ち止まり深呼吸する。
そして時間が本当にゆったりと流れる様子を心底かみしめた。














フランスへ 2013初冬

7年振りのパリ/2013・初冬

2006年以来のパリ、久しぶりだ。
いつ来ても変わらない顔で迎えてくれるはずの街が、今回は少し様子が違うみたい。
ロンドンと争った夏のオリンピック招致のためのインフラ整備の影響で、地下鉄を綺麗に安全に、という涙ぐましい努力が見て取れた。
個人的には、暗くて陰気くさいパリの地下鉄こそ、パリらしさだと思っている。

“眺めが良いのだけが取り柄”といえるパリ16区の屋根裏部屋に暮らし、一歩外へ踏み出す。
そこには、美しくて危険で雑多で、自己主張が強くておしゃべり好きの人々が住む街が
やっぱりあったのだ。
そうして私はストリートスナップを撮り始めた。