2018/11/07

大阪

大阪で写真を撮ろうと思う動機は幾つかあったのだが、気持ちがはっきりとしていなかった。
今年の8月に下見に訪れたとき、大阪環状線の内回りに乗った。
大阪を発車し、福島、野田、西九条、弁天へと続き大正駅に差し掛かったときの、車窓からの風景によって
大阪を撮りたいという気持ちが決定づけられてしまったと言っても過言ではない。
そこは、尻無川が大阪湾へ流れ込む河口の2,3キロ手前で、まだ川幅もそれほど広くなく、水面はおとなしかった。
川沿いには古い船着き場と小さな工場が立ち並び、年季の入った堤防の外側には川よりもはるかに低い位置に、ほこりを被ったような瓦屋根の町が沈みこむように潜んでいるのが見えた。
戦後もしかしたら戦前から変わっていないのでは?と思えるほどの時が止まった川沿いの町が、そこにあった。
この風景がいきなりわたしの前に現れて、方向付けてしまったのだった。