2018/02/12

ハバナ (14)

カラーとモノクロ写真の違いをしばらくの間、考えていた。

ふとリンゴの木があたまにうかぶ。
19歳まですごした実家の敷地の隣と、向かいの2方向はりんご畑だった。
冬季、りんごの実はもちろん、葉のすべてがおちる。
樹はそのごつごつした太い幹や、仁王像の掌のような脈々とした枝は、そのむきだしの姿をさらす。

そぎ落とされ、質感と最低限の要素だけが際立つ。

雪の中にぽつぽつと在るグレイのその立ちすがたは
まさにモノクロの世界だった。

一方、春、葉の青々とした姿にはやがて花が咲き
蝶や虫や鳥もやってくる。
たくさんの生き物が木のまわりで歌っているようだ。
いのちが動いている、時間が流れている。
それがカラーだと思った。