冬の旅 ―道東そして道央へ―
in the LIGHT
in the SHADOW
2月初め、戸張良彦さんの作品を観に北海道立帯広美術館へ行く。
“in the LIGHT in the SHADOW”というタイトルで7人の造形作家が立体や平面それぞれの表現方法で空間を埋めているが、個人のブースは広い。
個展会場が7部屋あり「光」と「影」というキーワードで繋がっている、といった印象の企画展だった。
戸張さんの作品は順路では1番最後の部屋、どの部屋よりも明るく、広いように感じた。
モノクロームのかなり大きな作品(100×150)が8点。壁面にぐるりと観客を取り囲むように展示されている。
カラーの正方形の写真(60×60)が少し高さのある台の上に地面と水平に、上から下へ目線を落として見るような形で、空間の真ん中に展示されている。(すべて水面の写真で、水面を覗き込む時と丁度同じような状態に作られている)その台は六角形を形作るように並べられていて、宇宙や自然の神秘を感じさせる幾何学的な配置だな、と思った。
モノクロームの8点の作品に関して、まずはこの作品の放つ美しさと潔さ、そして大らかさに心を打たれた。
海や河や森や湖といった十勝の風景を題材に用いながらも、地平線や水平線、山や雲の稜線といったラインを、様々な角度からの目線で変化をつけつつ、画面上には水平に持ってきている。
意図的にかなり荒くした粒子の画面は、その水平のライン―境界線の重要度をより際立たせていて、更にそのことは作品を抽象化、普遍化させることへも繋がっていると思う。
戸張さんにとって、被写体がどんなモチーフでも良かった訳ではない筈だ。
この地に暮らし十勝の自然を見続け、写真を撮り続けたからこそ生まれた作品だと感じた。
思考し続けることの大切さを学ばせていただいた。
そして同じ写真を志す者として、ずっと記憶に残る展示、そして忘れられない作品だ。