OKINAWA
那覇Ⅰ
沖縄は私のトポフィリア*だ。
1年前のちょうど今日、私は沖縄にいた。
5泊6日の(沖縄)本島のみの一人旅だ。
20年振りに沖縄に来てみたかったのは、全部白紙に戻して自身の原点に立ち返りたいという
思いに駆られていたからだった。
しかしそれは後に見事に打ち砕かれることになる。
しかしそれは後に見事に打ち砕かれることになる。
同僚で画家の十三生クンから、那覇の情報を色々聞いてきた。
撮影ポイントとして「農連市場」や「栄町市場」を勧めてくれたのは、地元の人しか行かない場所なので、那覇の人々の生活が見えるからという理由だ。
「農連市場」は那覇市街地の南東にあり、野菜や魚や乾物や肉や食料品そして花き等を売る市場だ。
店というよりは、それぞれが売り物を地べたに並べたり段ボール箱の上に並べ、持ち寄りを売っている、といった様子。市場の中には、売り物を前にお店の人がポツンと座っている。
飾りがない、無駄がない、そして何より質素だった。
店というよりは、それぞれが売り物を地べたに並べたり段ボール箱の上に並べ、持ち寄りを売っている、といった様子。市場の中には、売り物を前にお店の人がポツンと座っている。
飾りがない、無駄がない、そして何より質素だった。
観光客がそぞろ歩く大通りを避け、静かな裏道や路地を選んで歩く。
目に飛び込んでくるものすべてが新鮮に映る一方で、何だか空気がぼわーっと膨張して、
全体に色あせたフィルターがかかっている様に感じる。
まだ決して暑い季節ではないのに、南国独特のモワッとした空気が、私の五感を鈍らせていく。
まだ決して暑い季節ではないのに、南国独特のモワッとした空気が、私の五感を鈍らせていく。
那覇の民家の壁は、風雨に晒され、薄汚れ、剥げかけている。
石造りのキューブの建物も、コンクリートブロックの建物も、伝統的な瓦屋根を持つ民家も、嵐や雨に打たれ、ひたすら耐えてじっとそこに居る・・・そんな造りと雰囲気を醸し出していた。
今思うと、沖縄の人々の姿が住居の姿と重なって映るのだ。
今思うと、沖縄の人々の姿が住居の姿と重なって映るのだ。
ピカピカの建物に目が慣れている東京人の私には、那覇の裏通りは、かなりの異国情緒が感じられたのだった。
そして「どんな写真を撮ったら良いか・・・?」という冷静な思考はたちまち消え、ただひたすら歩き、少し躊躇しながらもシャッターを押し続けたのだ。 (続く)
*トポフィリア・・・ここでは「愛着のある土地、憧れの土地」という意味合いで使っています。
そして「どんな写真を撮ったら良いか・・・?」という冷静な思考はたちまち消え、ただひたすら歩き、少し躊躇しながらもシャッターを押し続けたのだ。 (続く)
*トポフィリア・・・ここでは「愛着のある土地、憧れの土地」という意味合いで使っています。