OKINAWA
那覇 Ⅱ
ふたたび那覇へ。
辺野古から70~80キロの距離を、往路と反対の東ルートで南下した。
宜野座、うるま、コザ、普天間、首里、そして那覇へ・・・。
沖縄のバスは長距離と路線バスを兼ねており、沖縄中部や南部に近づくにつれ、乗客も
停車回数も増えてきた。
一般道を走るバスの車窓から見た沖縄の街の印象は、ビーチと米軍基地と古い褪せた民家の壁、そして貧しさと混沌が島全体を包んでいた。
その混沌の先には、行き場の無い怒りのような感情の塊が、街に体現されていると
私には感じられた。
―都市とは人間、人間とは都市―とは、本質をよく言い当てた言葉だと思う。
―都市とは人間、人間とは都市―とは、本質をよく言い当てた言葉だと思う。
昼過ぎに那覇の宿へ戻った私は、外に出たい気分だった。
宿から歩いても20分足らずの場所にある、牧志の桜坂へと足が向いた。
(細い坂道の桜坂には桜坂劇場というミニシアターがあり、カフェや雑貨店や陶器のお店が入っている。本を読んだり書 き物をして、何時間でも過ごしたくなる居心地の良い場所だ)
ここへ来て、ふと映画を観ようかと思いつく。
津波(つは)集落で過ごした一日、名護市での一晩、そして先ほど辺野古で過ごした朝の僅かな時・・・それらの3つの時間軸があまりにも異次元に感じられ、完全に私の頭の中は混乱していた。
映画を観ることで、その混乱を鎮静化させたかったのかもしれない。
映画の世界にどっぷりはまって、この二日間の体験を保留にしたかったとも言える。
さんご座カフェで熱いコーヒーを飲みながら、映画が始まるのをゆっくり待つことにした。
しかしその保留期間が一年にも及ぶことは、その時はまったく予想していなかった。