サヨナラOKINAWA
那覇での最後の夜を遅くまで映画館で過ごした翌朝は
東京に戻る日だった。
空港に向かうのは昼過ぎで良かったので、那覇高校の裏に
位置する宿から朝8時、カメラを持って出る。
近所の薄汚れた鉄筋造りのアパートの階段ホールに吸い寄せられ、ひたすらシャッターを押し続ける。
フィルム1本を撮り終えハッと我に返った。
その後も公園の木々と空を延々と撮り続けたりと、何かに憑りつかれてしまったような自分がいた。
(後に東京に戻ってから思ったのは、沖縄の迷宮に迷い込んでしまったのかもしれない・・・と。)
沖縄に来たのは、写真を始めたばかりの気持ちに戻りたいと
願ったからだ。
それで18才の時初めて手にしたカメラ・・・35mm判カメラを、16年振りに使って写真を撮ってみる。
それで18才の時初めて手にしたカメラ・・・35mm判カメラを、16年振りに使って写真を撮ってみる。
しかし沖縄で過ごした数日間で、私は別の、沖縄の迷宮という深みに入り込んでしまっていた。
先が見えず初心に戻りたいと願う私・・・。そして沖縄の
迷宮・・・。それらが二つ重なってしまった。
迷宮・・・。それらが二つ重なってしまった。
ちょうど1年経った今、沖縄でのこと、1年前の自分を冷静な目で見ることができる。
そして今は、被写体をとらえ、それを感じるやわらかい心と
「こう撮りたい」と思う冷静な気持ちのバランスが、ようやく自分に戻りつつある。
その証拠に、また沖縄を訪れたいと思い始めている。