河野和典さん(Studio Ray代表)に最初にお会いしたのは2011年の夏の事。私の作品TOPOPHILIAの編集をお願いに写真を観て頂いた時だ。
最初は乗り気ではなかったようでしたが、作品を観るうちに
目が輝きだし、すぐに引き受けて下さるお返事をもらう。
河野さんがTOPOPHILIAの作品を観た最初の言葉は
「一貫性があって見やすい。畠山直哉の写真のような独自の構図だ」とおっしゃってくれた。
油絵を描いたり大辻清司さんに師事していた畠山さんとは、僭越ながら、写真一本ではなく色々なことやったという意味では自分も共通点がある。
今考えればとても嬉しい言葉だった。
その後の河野さんの本作りへの情熱はすばらしかった。
本の構成に関してはほぼ100%私の意図を通してくれたが、
一点だけそうではなかった強い思い出がある。
「著者あとがき」の文章を書いて見せたところ、(河野さんにとっては)私の文章があまりにひどかったのだろう。
赤ペンで修正した箇所が無数にある原稿が返されてきた。
河野さんが頭に血が上って熱くなりすぎたのか、或いは
達筆のせいもあり、ほとんど読めない部分もあるが簡単に言えば書いたものに対して全否定だった。
それで書き直したものが実際の本に載っているわけだが、
今読んでみると取り立てて良い文章とは思わないが
「あなたが10都市を回った実感を書きなさい」という言葉だけを頼りに書いたものだ。
様々な事を一度に考えなければならないぎゅっと凝縮した時間は
本当に思い出深い数か月だった。
河野さんのような方に編集をしていただき幸運だったと思う。
河野さんからHPのリニューアルのご案内がきました。
ぜひご覧になってください。
http://www7b.biglobe.ne.jp/~studioray/books.html