2014/04/01

冬の旅 戸張良彦さんの展示(道立帯広美術館)





冬の旅     ―道東そして道央へ―

in the LIGHT
in the SHADOW

 2月初め、戸張良彦さんの作品を観に北海道立帯広美術館へ行く。
“in the LIGHT in the SHADOW”というタイトルで7人の造形作家が立体や平面それぞれの表現方法で空間を埋めているが、個人のブースは広い。
個展会場が7部屋あり「光」と「影」というキーワードで繋がっている、といった印象の企画展だった。

戸張さんの作品は順路では1番最後の部屋、どの部屋よりも明るく、広いように感じた。
モノクロームのかなり大きな作品(100×150)が8点。壁面にぐるりと観客を取り囲むように展示されている。
カラーの正方形の写真(60×60)が少し高さのある台の上に地面と水平に、上から下へ目線を落として見るような形で、空間の真ん中に展示されている。(すべて水面の写真で、水面を覗き込む時と丁度同じような状態に作られている)その台は六角形を形作るように並べられていて、宇宙や自然の神秘を感じさせる幾何学的な配置だな、と思った。

モノクロームの8点の作品に関して、まずはこの作品の放つ美しさと潔さ、そして大らかさに心を打たれた。
海や河や森や湖といった十勝の風景を題材に用いながらも、地平線や水平線、山や雲の稜線といったラインを、様々な角度からの目線で変化をつけつつ、画面上には水平に持ってきている。
意図的にかなり荒くした粒子の画面は、その水平のライン―境界線の重要度をより際立たせていて、更にそのことは作品を抽象化、普遍化させることへも繋がっていると思う。

戸張さんにとって、被写体がどんなモチーフでも良かった訳ではない筈だ。
この地に暮らし十勝の自然を見続け、写真を撮り続けたからこそ生まれた作品だと感じた。
思考し続けることの大切さを学ばせていただいた。



そして同じ写真を志す者として、ずっと記憶に残る展示、そして忘れられない作品だ。

                             


                     帯広美術館企画展最終日、戸張さんの展示室で。戸張さんは左から4人目

                                         戸張良彦さんHP         www.y-tobari.jp 
     

2014/03/29

フランスへ 2013初冬

―VITRE(ヴィトレ)へ― /フランス/2013・初冬


 VITREはフランス北西部、ブルターニュ地方の玄関口に位置し、お城のある小さな古い町だ。
 友人で、彫刻家の家族を訪ねて行った。
 彼女には2004年、パリに暮らしていたとき随分お世話になった。

 一目ぼれして購入したという可愛らしい石造りの家に、画家の旦那さんと小さな娘さんと3人で暮らしている。

 私が住んだのは、彼らの所有する貸家で、彼らの家から歩いて10分ほどの小さな三階建の、こちらも古い石造りの小さな家。 1階がバスルームとダイニングキッチン、2階が広々としたリビング、3階がベッドルームになっていて一人で使うには贅沢すぎる広さだ。

 古いラジオから流れるローカル放送を聞きながらビールを飲み、VITREの地図を見ながら、明日はどこに撮影に行こうかとしばし考える。

 ここは本当に静かで安全な町だ。
 夏はヴァカンス客で賑わいを見せるそうだが、11月下旬の今はほとんどいない。
 日没後ふと三脚を立てて写真を撮ってみたくなる。近所の石造りの街角を長時間露光で撮影してみた。

 古いお城を囲む小さな石造りの旧市街、その周りには現代的なフランスの住宅街、その更に周りには広大な牧草地や畑が広がっている。

 友人にもらった地図を頼りに「森の中の散歩道」と名付けられた道を、できるだけ遠くへ行ってみようと思った。子供の頃に戻ったように、田舎の道をひたすら歩く。
 木々の間の美しい1本道で立ち止まり深呼吸する。
そして時間が本当にゆったりと流れる様子を心底かみしめた。














フランスへ 2013初冬

7年振りのパリ/2013・初冬

2006年以来のパリ、久しぶりだ。
いつ来ても変わらない顔で迎えてくれるはずの街が、今回は少し様子が違うみたい。
ロンドンと争った夏のオリンピック招致のためのインフラ整備の影響で、地下鉄を綺麗に安全に、という涙ぐましい努力が見て取れた。
個人的には、暗くて陰気くさいパリの地下鉄こそ、パリらしさだと思っている。

“眺めが良いのだけが取り柄”といえるパリ16区の屋根裏部屋に暮らし、一歩外へ踏み出す。
そこには、美しくて危険で雑多で、自己主張が強くておしゃべり好きの人々が住む街が
やっぱりあったのだ。
そうして私はストリートスナップを撮り始めた。