大日方さんとのトークで印象的だったことは2つあります。
ひとつは、パリの写真について最後に語っていた言葉です。
「厳しい関係とは限らず、無関係の者同士が都市って交差し合う訳じゃないですか。その時に生まれる何か・・・パルスの交わし合いみたいなものを、どの写真からも感じます。それはどの国でも違う現れ方をしていて、今の段階で僕はそう見ていて、それが面白いなぁ、と思っています。ー」
これはわたしが作品を作る上で最も意識し、苦慮した部分のことに触れていると思います。場所や街や人々に対して、自分をどう馴染ませて行くか、ということを念頭に街を歩き撮影をしていました。
そのため「どの国でも違う現れ方をしている」という大日方さんの見解はうれしい驚きでした。
ふたつめは[ギャラリートークの記録]の最後の大阪の写真についての部分です。
大日方さんは大阪の写真の中での話をされていた。あくまでも写真の中に限った話だったのだけれども、私はいつしか大阪の街に、人々に、それを置き換えて聞き、考えていました。
単に私の読み違い、理解不足だったとも言えるのですが、そのズレが面白く、ずっと尾を引いています。
それは大日方さんと私の立ち位置を明確にしてくれ、なかなか興味深いギャラリートークになったと思っています。
この作品の写真で起こる人と人との交錯や掛け合いが、トークの中でも起こったことをうれしく思います。
(下記をクリックするとトークの文章を読むことができます)
2021年10月6日 由良環