昨日は雛祭り。様々な国の女性を取り上げた番組が組まれているのを見て、パリでの日常の一コマを思い出す。
パリの女性は強い、攻撃的、平たく言えば‘恐い’のだ。
毎日通うスーパーの代金を大きいお札で出そうものなら
ため息をつかれ、ゴネられ、こっちの方が気が滅入ってくる。
だからメトロの切符を一枚だけ駅の自動販売機で買ったりして
常に小さい額の札をたくさん準備している。
ある日、毎朝通うパン屋の若い女性(普段は無愛想)が
私が毎回三脚を持っているのを見て「Photographe?」と話しかけてきた。
こちらはびっくりたまげ「Oui」としか言えずそれ以上の会話も
できなかった。
それが残念で仕方なく、私がもし男性だったら会話が弾んで
デートの約束でも取り付けていたかもしれない。
(フランス映画のセオリーに乗っ取るとそんな感じだ)
でも、その朝に限って優しく話しかけられたことは
胸に温かい膜が一枚加わったような気持ちだった。
そうやって私はパリの街に少しづつ溶け込んでいった。